あいかわらず旅行ネタですが、今回はペットの話。
旅行となると、ペットの扱いに困ることが多いものです。ウチには6歳の双子だけでなく、猫が7匹もいます。キャットシッターに鍵を預けるのはあまり好きではないし、ペットホテルではいっさい飲み食いしなくなる猫がいることも分かっているので、3日以上家を空けるような旅行には連れて行かざるをえません。かなりの難事業です。
子どもたちはドライブ好きなので問題ないのですが、猫はそうも行きません。
じっと黙って移動に耐えていられるのはせいぜい1時間。すると、神経質な猫から「アウォー」とか「ニ゛ャー!」とか悲痛な泣き声を上げはじめます。
そして、一匹が泣き始めるとすぐに7匹全員に波及し、車内はとんでもない騒ぎになります。
いったん騒ぎになると、なだめてもすかしてもダメ。ケージから出しても、うろうろ歩き回って落ち着かないだけ。
というより、ハンドルの上にのぼろうとしたり、コンソールの上で視界を邪魔したり、ブレーキペダルの下にもぐろうとしたり、危なくってしょうがない。
まぁそれでも、車で移動しているかぎりはなんとかなるものです。
問題は、宿。ペット連れでは泊めてくれる宿がないのです。
犬といっしょに泊まれる宿というのはないわけではありませんし、その多くは猫同伴もOKです。でも、7匹の猫なんてのは、たいていのホテルや旅館にとって想定外なんですよね。なんとか頭数が多くても大丈夫という宿を見つけたとしましょう。でも、たとえ犬より汚すリスクが少なくても、猫割引なんかしてくれません。7匹もいると、旅費がかさんでしょうがない。
それでも、公然と猫を連れ込めるのならまだいいのです。地域全体がペット禁止で、泊まれる宿が一軒もないということもめずらしくはありません。そんなとき、「二度とこんな街に来るもんか!」という不快な気分で去ることになります。
けっきょく、家族総出で快適に旅行したければ、行き先がどうしても限られてしまうのです。
そういえば、ロサンゼルスで2年間暮らしたとき、アニマルシェルター(野良を保護して飼い主を探す施設)から猫を2匹引きとって育てていましてね。ある日、ふと思い立って、猫たちを連れて妻と旅行に出ました。国立公園めぐりです。
グランド・キャニオン、ブライスキャニオン、ザイオン・ナショナルパーク、いずれもよかった。景色もよければ、人もいい。宿もいい。どのホテルも当然のようにペットOKです。わざわざ調べる必要もない。ペット連れでも飛び込みで大丈夫。すばらしい!
...と、いい気分になっての帰り道。久しぶりにラスベガスに寄っていこうかという話になりましてね。いや、苦労しました。2時間ほど電話を掛けまくりましたが、ペット同伴OKの宿が一軒も見つからないのです。一軒も!
けっきょく、監視の薄そうなモーテルに部屋を取って無断で連れ込みましたが、以後はラスベガスに足を踏み入れたことがありません。今でも、「あそこは人をもてなす街じゃない。お金を相手にする街だ」という否定的なイメージがこびりついています。
あと、宿以外の問題としては、飛行機やフェリーですね。フェリーはこっそり客室に連れ込むとしても、飛行機はそういうわけには行きません。
とくに、国際線の場合、ペットは一匹ずつ大きなケージに入れて、寒々しい貨物室に入れなければなりません。
足元において世話をできないか、とか、せめて2匹一緒に入れて寂しくないようにできないか、とか、いろいろと航空会社と交渉してみましたが、全部アウト。なんとか手続きを済ませて貨物室に入れましたが、関空で引き取ったときの猫たちの悲壮な表情といったら!
飛行機に乗せる前の、航空会社(N◎rthWest)の窓口対応も不愉快でした。
旅費や検疫などの手続きはかなりの時間をかけて、あらかじめ電話などで航空会社と話し合いましたので、あとは手続きを済ませるだけ、という状態でチェックインカウンターに臨んだのです。
ところが、窓口のおばさんが、シッタカブリしていろんな手続きや書類を要求するのです。まぁアメリカではよくあることなのですがね。ただ、おばちゃんの不遜なこと!
ぼくが「会社にもちゃんと確認してある。文書でもルールを確認してある」と話したところ、ぶっきらぼうに「Show it.」(見せろ)と来たもんだ。客に命令すんなよ。いま思い出しても腹が立つ。
文書を受け取ったおばちゃんが電話で会社に確認したところ、やっぱりぼくが正しいとわかったのですが、それでも謝りもしない。これもまぁ、アメリカではよくあることなのですがね。
ペット連れで旅をすると、人のいやな所が見えてくるもんですね。写真のような旅をしてみたいもんだ。