「住基ネット合憲」の最高裁判決が出ましたね。まぁ判決自体は予想通りともいえるのですが...
ちなみに、US版のYahoo!には、電話帳のページがあります。適当に名前を入れて検索してみると、番地まで書かれた住所と電話番号が表示されるのが分かると思います。
検索結果の一覧表の中には、"More Information/ Background Check"と書かれた箇所がありまして、クリックすると有料でより詳細な個人情報が入手できるしくみになっています。
こちらがそのサンプル。本名Lori Ortiz。通称LorryもしくはSamatha。37歳の例。たぶん架空の人物。https://find.intelius.com/search-detail-out.php?ER=1&ReportType=8
まず最初に載っているのが、現住所までの居住歴。その住所に住んでいた当時の電話番号も載っています。業者によっては、ここまでは無料で検索することができます(少なくとも5年ぐらい前は無料の業者がありました)。
むかしの住所や電話番号を調べなければならないことって時々ありますからね、意外と便利な面もあります。でも、それを他人に知られてもかまわないと思う人は、たぶんそう多くはないでしょう。
居住歴に引き続いて、それぞれの住所の資産価値、近所の住民の素性、性犯罪を犯した者の数、などが詳細に記されています。
どれだけ"ステキ"な環境で暮らしてきた人物なのかを知るためのデータですね。これらを付き合わせれば、その人物がどのような社会的地位を持っているのかをある程度推察できます。
その下には、刑法の違反歴や、民法の裁判記録が記載されています。
ただし、どちらとも、同じ州の同姓同名の人物の記録であって、本人の記録かどうかは分かりません。いちおう各記録の身体的特徴も書いてはいますが、他人の犯罪歴や他人が破産した裁判記録を自分のものだと誤解されるとタイヘン不愉快ですね。たとえ自分自身の記録であっても、他人に知られるのはイヤなものでしょう。
さらにその下には、納税記録(=年収、保有資産)が載っています。そして最後が婚姻・離婚歴と、死亡記録。
いずれも、ちょっとびっくりするほど高度な個人情報ですね。業者によって値段は違いますが、ここまで調べてだいたい$50くらいでしょうか。5〜6千円くらい。さらにお金を払えば、もっと他の情報を調べることも可能です。
さて、どうしてアメリカでここまで個人情報がダダ漏れになっているのかというと、社会保障番号(SSN:Social Security Number)がいろいろなデータベースを接合する鍵になっているためです。
SSNがなければアルバイトすらできませんので、アメリカでは10歳くらいになるまでにだいたいみんなSSNを発行してもらいます。早い人は、生まれてすぐに親がSSN取得の申請をします。アメリカに定住している人はみんなSSNを持っていると考えてもそんなに間違いではありません。
SSNは、もともと年金を管理するための番号だったのですが、その人が誰であるかを証明するために、さまざまな形で利用されるようになりました。
図書館の利用カードを作るとき、レンタルビデオの会員になるとき、通販を利用するとき、家を借りるとき、銀行の口座を作るとき、免許証を取得するとき、大学に入学するとき、いろいろな場面で記載を求められます。
SSNをもっていなければ、これら何一つとしてできないのです。SSNをもっていなければ、アメリカで暮らすことはできないといってもいいぐらいです。
そうすると、SSNを含む膨大なデータベースがアメリカ中に散らばっていることになりますね。そのことに気づいた業者が、それらのデータベースを手広く購入して、くっつけて、そしてまとまった個人情報として売って商売にするようになったわけです。
日本では、住基ネットを導入するとき、「アメリカのようになってはならない」という判断から、住基コードの民間利用は法律によって禁じられました。
でもねぇ、行政上は住基コードの流用が進みつつありますし、永久に民間利用が行われないという保証はありません。
今回の最高裁判決では、氏名や住所など「秘匿性の高くない情報」のみを取り扱っているから「合憲」ということなんですが、そりゃ住基ネット自体はたいした個人情報じゃありません。住民基本台帳でも閲覧できる内容でしかありませんし。
でも、住基コードが存在するかぎり、それが知らない間に高度な個人情報のデータベースに化けてしまう危険性は否定できないのですよね。