情報社会の全ブログ記事

はてブって面白いね

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 前回のエントリーで、「趣旨をきちんと理解できた人はそう多くなかったかもしれません」なんて書きましたが、それについて補足を。

 本音を言うと、一連のエントリーはやや応用的なので、差別論に関する基礎知識がないと、もともと感受性の豊かな人でないかぎり、上手に要点を捉えることは難しいと思っていました。具体的には、(1)クレームのあった事例が「差別」かどうかは重要ではないこと、(2)「差別」にはどのような表出形態があるか、(3)victim blamingとは何か、(4)傷つけようという悪意が差別の原因というのは大間違いであること、を知っていないと味わえない話ですからね。これまでの経験則からいって、いくつかのエントリーを読むだけで理解できる人は「1割に満たないだろう」という判断でした。

 ところが。李怜香さんがはてなブックマークに登録した後、かなりの数のコメントが付いたのですが、その内容が結構いいのです。コメントの中のざっと3割ほどは、内容をしっかり理解したうえで、当人の言語で適切な批評を行っているものです。2ちゃんねるあたりとは密度が違う。前回のエントリーへのコメントにいたっては、大学院水準の訓練を受けた方が目立ちます。なんだか、大衆化する前のインターネット環境を髣髴とさせるノリですね。なつかしい。ウケたコメントには一つ一つリプライを返したいところです。

 ところで、興味を持って「はてな」を見てみたところ、面白いブログを一つ発見しました。その中の「ファッションレイシズムとウェブマイノリティの戦い方」は、マイノリティ・カバレッジのためにSEOをという主張です。力作ですよ。今後が楽しみな学生さんだ。

 ということで、「はてな」にはこのところ楽しませていただいている、という話でした。

Twitter #2

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 しばらく使ってみましたよ、ツイッター。結論から言えば、意外といいかも。

 前回のエントリーでは「危険なメディア」だという含みがありました。個々のユーザーにはネット依存症を発症させ、社会的にはネットイナゴの大量発生を後押しする、というイメージですね。

 ネット依存については、おそらく当初の懸念の通りでしょう。これからどんどん深刻化していくはずです。かつて「ミク中」という言葉がありましたけど、なにせツイッターはSNSよりリアルタイム性が高いですから。試しに、「Twitter」+「ネット依存」でググってみると、すでにたくさんのテキストがある。今後も増えていく一方でしょう。

 それに対して、ネットイナゴの大量発生については、少々、勘違いをしていたかもしれません。

 いや、まったくの間違いだとも思いませんよ。この1週間あまりの間に、ツイッター内で2件のデマの発生&流布を目の当たりにしました。下の参考文献に詳しいですが、一定の心理学的・社会学的な条件がそろえば、事実に基づく合理性はなくともうわさは広まるものです。そして、ツイッターには「一定の心理学的・社会学的な条件」があふれているのですね。そして、一気に流布したうわさによって、多くのネットユーザーがある種の"正義感"を刺激されれば、ネットイナゴの発生につながります。

◎川上善郎 『うわさが走る―情報伝播の社会心理』 サイエンス社
◎早川洋行『流言の社会学―形式社会学からの接近―』青弓社

 ただね、例えば2ちゃんねると比べて、標的となるテキストの投稿からネットイナゴが発生するまでの時間は短くなるかもしれないけど、ネットイナゴが発生する頻度自体はむしろ低くなるかもしれない、というのが現時点での印象です。

 というのも、まだ詳しく書けるほど整理してはいないけど、うわさの流布を阻害する心理学的な条件と社会学的な条件も備わっている(ように思われる)のですね。

 その結果、少なくとも現時点では、日本のインターネットの歴史の中でもっとも創発民主制に近い状況ができあがっているのがツイッターである、といえるのではないかと感じています。

Twitter

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西村正男さんに影響されてTwitterを始めてみた。http://twitter.com/han_org

正確に言うと、アカウントはかつて取得ずみだったのだが、使用せずにずっと放置していたのを運用してみることにしたわけです。

この2-3日は、いつもなら心にとどめておくようなこともTwitterに吐き出してみたり、どうやらfollowing/followersがいないと話にならないということはわかったので知り合いなどを探して登録してみたり。つまり、ニワカらしく、Twitterの文化を早期に内面化する作業に従事しています。

が、なんというかね、まだほとんど使っていないけど、アカウントを取得したときに直感した通り、ぼくにはあんまり向いてないみたい。もともと筆まめじゃないし、時間無制限のリアルタイム・メディアには自由を束縛されるような圧迫感を覚えてしまうほうだから。30代前半まではそういうのも苦にならなかったんだけどね。

まあ、もう少し使ってみないと。

住基ネット

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 「住基ネット合憲」の最高裁判決が出ましたね。まぁ判決自体は予想通りともいえるのですが...

 ちなみに、US版のYahoo!には、電話帳のページがあります。適当に名前を入れて検索してみると、番地まで書かれた住所と電話番号が表示されるのが分かると思います。

 検索結果の一覧表の中には、"More Information/ Background Check"と書かれた箇所がありまして、クリックすると有料でより詳細な個人情報が入手できるしくみになっています。

 こちらがそのサンプル。本名Lori Ortiz。通称LorryもしくはSamatha。37歳の例。たぶん架空の人物。https://find.intelius.com/search-detail-out.php?ER=1&ReportType=8

 まず最初に載っているのが、現住所までの居住歴。その住所に住んでいた当時の電話番号も載っています。業者によっては、ここまでは無料で検索することができます(少なくとも5年ぐらい前は無料の業者がありました)。

 むかしの住所や電話番号を調べなければならないことって時々ありますからね、意外と便利な面もあります。でも、それを他人に知られてもかまわないと思う人は、たぶんそう多くはないでしょう。

 居住歴に引き続いて、それぞれの住所の資産価値、近所の住民の素性、性犯罪を犯した者の数、などが詳細に記されています。

 どれだけ"ステキ"な環境で暮らしてきた人物なのかを知るためのデータですね。これらを付き合わせれば、その人物がどのような社会的地位を持っているのかをある程度推察できます。

 その下には、刑法の違反歴や、民法の裁判記録が記載されています。

 ただし、どちらとも、同じ州の同姓同名の人物の記録であって、本人の記録かどうかは分かりません。いちおう各記録の身体的特徴も書いてはいますが、他人の犯罪歴や他人が破産した裁判記録を自分のものだと誤解されるとタイヘン不愉快ですね。たとえ自分自身の記録であっても、他人に知られるのはイヤなものでしょう。

 さらにその下には、納税記録(=年収、保有資産)が載っています。そして最後が婚姻・離婚歴と、死亡記録

 いずれも、ちょっとびっくりするほど高度な個人情報ですね。業者によって値段は違いますが、ここまで調べてだいたい$50くらいでしょうか。5〜6千円くらい。さらにお金を払えば、もっと他の情報を調べることも可能です。

 さて、どうしてアメリカでここまで個人情報がダダ漏れになっているのかというと、社会保障番号(SSN:Social Security Number)がいろいろなデータベースを接合する鍵になっているためです。

 SSNがなければアルバイトすらできませんので、アメリカでは10歳くらいになるまでにだいたいみんなSSNを発行してもらいます。早い人は、生まれてすぐに親がSSN取得の申請をします。アメリカに定住している人はみんなSSNを持っていると考えてもそんなに間違いではありません。

 SSNは、もともと年金を管理するための番号だったのですが、その人が誰であるかを証明するために、さまざまな形で利用されるようになりました。

 図書館の利用カードを作るとき、レンタルビデオの会員になるとき、通販を利用するとき、家を借りるとき、銀行の口座を作るとき、免許証を取得するとき、大学に入学するとき、いろいろな場面で記載を求められます。

 SSNをもっていなければ、これら何一つとしてできないのです。SSNをもっていなければ、アメリカで暮らすことはできないといってもいいぐらいです。

 そうすると、SSNを含む膨大なデータベースがアメリカ中に散らばっていることになりますね。そのことに気づいた業者が、それらのデータベースを手広く購入して、くっつけて、そしてまとまった個人情報として売って商売にするようになったわけです。

 日本では、住基ネットを導入するとき、「アメリカのようになってはならない」という判断から、住基コードの民間利用は法律によって禁じられました。

 でもねぇ、行政上は住基コードの流用が進みつつありますし、永久に民間利用が行われないという保証はありません。

 今回の最高裁判決では、氏名や住所など「秘匿性の高くない情報」のみを取り扱っているから「合憲」ということなんですが、そりゃ住基ネット自体はたいした個人情報じゃありません。住民基本台帳でも閲覧できる内容でしかありませんし。

 でも、住基コードが存在するかぎり、それが知らない間に高度な個人情報のデータベースに化けてしまう危険性は否定できないのですよね。

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