大学におけるレイシャル・ハラスメント

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 おそらく、セクシュアル・ハラスメントを防止するための規程のない大学は日本には残っていないはずである。1999年に文部省(当時)から出された通知などを踏まえて、各大学とも規程を整備したためである。

 それからおよそ15年、ハラスメント概念はつねに深化を続けてきた(例えば弁護士ヘルプ「ハラスメントの種類26」)。もはやセクシュアル・ハラスメントを禁じるだけでは時代に合わないということで、自主的に規程を拡張している大学も少なくはない。しかし、ことレイシャル・ハラスメントについては明確に禁止を謳っている大学はまだまだ多くはないようである。その間、グローバル化の掛け声の中で留学生は倍増し、外国籍教員も増加していることを考えると、対応はいちじるしく立ち遅れているといわざるをえない。

 現実の被害はすでに少なからず生じている。関西の大学教員を中心に、大学でのレイシャル・ハラスメントの被害について情報収集をしているが、以下にその一部を紹介しよう。

  • A大学の教員aは、授業中、授業テーマと関係もないのに「韓国」「中国」の悪口を語気荒く連発。在日コリアンの学生がその教員aの研究室に訪れたところ、引き留められ相談内容と全く関係もない韓国についての議論をふっかけられる。当該学生はおびえ、持病を再発。

  • B大学の中国人・韓国人留学生が受講している授業で、担当教員bは毎回、シラバスを逸脱して中国や韓国の悪口を延々としゃべる。ある韓国人留学生に教科書を朗読させた際に、「君はどこから来たの?」と質問。留学生が「韓国です」と答えると、約100人の学生がいる場で公然と「韓国は大統領が反日だから、日本を留学先になんか選ばないんじゃないの」と言った。韓国人留学生は精神的苦痛で一時、不登校となった。

  • C大学の授業の場で、教員cが在日コリアンの学生を指名して、在日についての意見を求めた。翌週の授業で、その日のコメントペーパーがいくつか読み上げられたが、そのなかに「日本にずっと住みながら、文句を言う権利はない、帰れ」との内容があり、しかも担当教員cはそれついて一切コメントもなかった。その問題について授業後に教員cに指摘したが開き直った調子であったため、在日コリアン学生はショックを受け、その後、動機や頭痛でキャンパスを歩けなくなったりもした。

 いずれのケースでも、被害を申し立てている学生は、深刻な精神的、肉体的な苦痛、学習意欲の低下などを体験している。しかし、ハラスメント相談室に訴えても「教授には高度な裁量があるので授業内容には立ち入れない」と門前払いを受けたり、規程の不備を理由にハラスメント事案としての扱いを拒否されたりといったケースが目立つようだ。

 政府は2008年度に「留学生30万人計画」を掲げ、積極的な留学生獲得施策を展開しているが、こうした状況を放置したまま数字だけを弄んでも、教育の質を向上させることは困難であろう。

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このページは、mskimが2015年5月27日 06:35に書いたブログ記事です。

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