片山さつき氏による見下げ果てた煽動

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 集団内の誰かをこき下ろすことで、集団内に一体感が高まることがあります。「黒い羊効果」や「他者化」と呼ばれる現象です。

 こき下ろされる「誰か」がランダムに決まるのであれば問題はすくないといえますが、実際には、決まった属性や特性をもつ人が恒常的に排除される立場に選ばれることが多いものです。いわゆる、社会的弱者やマイノリティとされる人々ですね。社会学では、それを「他者」と呼びます。「他者」とは、「われわれとは異なる存在」であることを示す排除の記号です。

 ユダヤ人、黒人、女性、難民、異端者、共産主義者、障がい者、同性愛者、等々、さまざまな属性や特性が恣意的に「黒い羊」に選ばれ、「他者」として排除されてきました。その人たちを差別したいから(だけ)ではなく、むしろ《その人たちとは違う私たち》の一体感を高めるために。

 この原理を政治手法に昇華させたものがいわゆるファシズムです。ファシズムは、「他者」を意識的に排除することによるカタルシスで熱狂的に社会統合を高める特徴を持っています。

 ただし、ナチス・ドイツによるユダヤ人等への虐殺を代表として、ファシズムは凄惨な人権侵害を必然的に発生させるということで、大戦後の社会がその抑制に尽力してきたことは周知の通りです。例えば、「他者」に対する憎悪の煽動を法で禁じている国は少なくありませんし、個人に対してオールマイティの権力を行使しうる立場の公人がぜったいに選択してはならない禁じ手だというのが国際社会の通念です。

 しかし、日本には、公人の中にもこの原則の重要性を理解していない愚か者がいますね。片山さつき氏は間違いなくそのお一人だといえるでしょう。以下は、昨日、片山氏がツイッターに投稿したツイート。

従軍慰安婦への見舞金は、必要ありません!海外で韓国が日本人学校の教育内容(当然竹島を日本領土としている)を提訴したとの報道ありますが、徹底抗議抗戦すべきです。訪米した閣僚は何してるの?反日、チェジュ思想を教える朝鮮学校の無償化検討などするから、舐められる!怒りと反対の輪広げよう! (@katayama_s 2011/09/25 12:40:15)
https://twitter.com/katayama_s/status/117805586627833856

 ここに登場する「チェジュ思想」とは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の思想体系である「チュチェ思想」(主体思想)の誤りであることは明白です。カタカナにすれば似ているようですが、単なるタイプミスではありません。日本において「チェジュ」といえば韓国の名勝地である済州島以外を指すことはありえず、わずかなりともこの分野の知識があれば、まず、両者を間違うことはないからです。

 言い換えると、片山氏は、隣国の思想体系についてわずかな知識すら持ち合わせていなかったにもかかわらず、上に引用した攻撃的なツイートを書いたということになります。誹謗中傷というほかありません。まあ、片山氏にとっては、「チュチェ思想」だろうが「チェジュ思想」だろうが、どうでもいいのでしょう。《わけのわからない「反日」のマインドコントロール源》だという偏見を流布したかっただけなのでしょうから。

 しかし、そのために、朝鮮学校を無償化の対象とすべきでないと主張しているのは、悪質な政治手法です。愚劣な政治家による見下げ果てた煽動ですね。公人によるヘイトスピーチは、刑法によって禁じられている国が少なくはないということをあらためて指摘しておきたいと思います。

 片山氏のヘイトスピーチを受けて、在日コリアンがどう反応したかというと、まずはこちらのまとめをご覧ください。軽妙にユーモアで受け流していることが理解されるでしょう。

「チェジュ思想とは何か」http://togetter.com/li/192465

 憎悪の煽動は、「他者」の人権を犯にさらす罪であるというだけでなく、社会統合に深刻な打撃を与えることで国家秩序を掻き乱す罪でもあります。はたして、この日本社会の利益、この日本の民主主義を真摯に考えているのは、片山さつき氏なのか、それとも在日コリアンなのか。ぼくには、少なくとも前者ではないという確信がありますね。

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コメント(4)

ナイスコメント。筆者の論説に全面同意です。

片山さつきとかいう議員、東大出の秀才とかいう話だが、どうやらとんでもない無知、無恥人間のようですね。
チュチェもチェジュも分からずにコリアを語るなって。

こんなのが多いんですよ。日本を本当の民主主義にしないとダメですね。どうやって実現させるか、先ずは自分の意見をこうして述べることだと思うんです。

ナイスコメントにコメントしたくなったミクシイの石歩きです。

たしかに集団が行き詰った時に、その中の誰かをこき下ろすことで一体感を高めようとすることがありますよね。

ドイツもそうでした。アメリカもそうでした。世界中でそういう事は起きています。

ただ、わが日本はそうあってほしくないと思います。

はじめまして、Halmizと申します。
はじめてこちらのブログを拝見しました。
日本人ですが、全面的に賛同します。

憎悪の煽動をする人、煽られて乗る人
知性や見識の無さを痛感すると共に
その奥底にある人間の心の問題をいつも考えており
私なりに「悲観主義」と捉えております。
悲観は感情からと言った人がいますが
心の根にあるのは不安や臆病であり
自己防衛が働き、それは相手への攻撃性を生みます。
子どもの頃から社会に出てからも「いじめ」られた経験がありますが、そうした体験からかそのように感じてなりません。
悲観の反対は楽観ですが、とかく楽天的と勘違いされがちですが
相手を包み込み、相手を理解しようとする対話の姿勢
そうした楽観主義に立脚して、物事を捉え、特に近隣の国との関係においてはそう心がけております。
乱文失礼いたしました。

片山氏の朝鮮文化への不理解は明らかです。
マイノリティへの攻撃を放置すれば親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法の様な、ファシズム的・遡及的な悪法が成立しかねません。
我々市民はもっと声を上げるべきです。
ところで、
"しかし、そのために、朝鮮学校を無償化の対象とすべきでないと主張"の"その"とは、"偏見の流布"でしょうか?
Tweetを見る限りそれでは文脈が繋がらない気がするのですが…。
また、
最終段落に論理の飛躍があるように思えます。唐突に結論付けられる"確信"についてご教示ください。
「チェジュ思想とは何か」は楽しく拝見しました。
「黒い羊」の揶揄に満ちており、なかなかいい皮肉になっていましたよ。

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このページは、mskimが2011年9月26日 17:41に書いたブログ記事です。

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