カナダの洪水

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 カルガリーのモーテルの駐車場でバイクに荷物をつんでいるとき、「昨日よりいい天気だったらいいわね」と声をかけられました。その前日はひどい雨で、850kmの移動のあと、ドロドロの状態になってフロントに駆け込みました。そんなところを見て気にかけていてくれたのかもしれません。でも、出発してすぐにまたひどい雨が降り始めましたが。

 トランス・カナダ・ハイウェイが渋滞しているのでなにがあったのかと思ったら、河川氾濫で通行止めというのです。そういえば、前夜、テレビ番組が突然止まって、「災害警報」の静止画面に切り替わり、「〜の地域は増水に注意してください。〜の地域は...」のような無骨なアナウンスがしばらくありました。番組を止めての緊急情報でしたのでけっこう緊張しましたが、「明日はバンフまで150km足らずだし、ハイウェイをちゃっちゃと移動してホステルでゆっくりしていよう」と思ったのを覚えています。

 しかし、その150km足らずがひどかった。迂回した道路では小川や池があちこち氾濫しています。太い流木の山に押し流されそうになっている非常に危険な橋を駆け抜けたりもしました。100mm/hほどの雨が降り続くし、横殴りで風速10m/sほどの風が吹き付けてくるし、おまけに気温は摂氏8度くらいからどんどん下がっていきます。バンフに着いたときは雪交じり。間違いなくバイク人生最悪の天候でした。

 この雨はエドモントンからカルガリー一帯にかけての広い範囲でサスカチュワン川を氾濫させ、洪水を発生させたそうです。

 洪水が発生したといっても、ニュースの扱いは日本とはずいぶん違いました。というのも、川沿いにはほとんど家が建っていないため、実質的な被害が発生しないからです。川沿いの土地は、増水のときに氾濫する平原として住居に不適切な土地だと認識されています。カナダは土地が広いから、わざわざそんな場所を選ばなくてもほかに住居に適した場所がたくさんありますからね。

 だから、洪水といっても余裕で増水する光景を眺めに出かけて楽しんだりしているのです。

「ママみてー、あの流木のやま、ビーバーのダムみたーい」
「あと少し増水したらあの辺が氾濫しそうなのに、なかなか水が増えてこないね」
 それでも、氾濫原に好んで住む人もいます。なぜなら、都市のすぐそばなのに広大な土地を安価で独占できるためです。災害の保険に加入することすらできないそうなのですが、都市生活と大自然のどちらにも利便性がいいということで、一部の人々に人気があります。新聞では、「好き好んでそんなところに住んで何度も被害にあって、しかも今後も住み続けたいなんて、本当にご苦労なことで...」というような論調で書かれてありましたが。

 彼らには、氾濫原でもふつーに住居を建てているアジア諸国(もちろん日本を含む)はどう見えるんでしょうね。氾濫を抑えて川辺に住居を広げるために、川底と川岸をすべてコンクリートで覆ってしまって、日本からは砂浜が消えてしまった、なんて聞いたらどんな顔をするんだろう。ましてや、消えつつある砂浜を維持するために毎年毎年、土砂を運んでこなければならない海水浴場がたくさんあるなんてね。

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このページは、mskimが2007年5月 2日 09:03に書いたブログ記事です。

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